
社長の鞄持ちで学んだ「挑戦と人のつながり」
- 山梨学院大学
- 望月 陽介
- 株式会社フューチャー・リレーション 代表取締役社長
- 古川 雅純

株式会社フューチャー・リレーション
株式会社フューチャー・リレーションは、太陽光発電や蓄電池を中心に再生可能エネルギー、省エネ商材を提供する。東日本大震災を機に蓄電池の重要性を認識し販売を開始。グループ会社の千葉電力株式会社と化石燃料依存からの脱却と国内自給エネルギーの普及に努めてきた。FIT開始前から事業を展開し、市場変動に左右されない成長を実現。「人間力戦略」を掲げ、信頼関係を基盤に顧客との長期的な関わりを重視している。2032年までに売上100億円を目標とし、上場を視野に挑戦を続け、社会に貢献する企業を目指している。
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社長の鞄持ちをしてみたいと思ったきっかけを教えてください
望月:大学のインターン授業の一環で「社長の鞄持ち」を知りました。最初は名前を見て「なんだろう?」と興味を持ったんです。説明に来てくださった株式会社カバン持ちの津田社長のお話を聞くうちに、「鞄持ちで若者の人生を10年を前倒しする」という言葉に強く惹かれました。普段なかなか接することのない社長の意思決定や考え方に、若いうちから触れられることは、将来に必ず役立つと思い参加を決めました。
古川社長:私も津田社長の「10年前倒し」という理念に共感しました。もちろん採用活動の一環としても有意義ですが、それ以上に学生にとって大きな学びになる取り組みだと思いました。
私自身も、人との出会いで人生が大きく変わったと思っています。営業を続けられたのも、会社を立ち上げられたのも、良き上司や仲間に出会えたからです。だから「人との出会いは大事というより、ある意味全てだ」と思っています。今回の鞄持ちも、そのひとつのきっかけになれば、との想いです。 -
3日間のインターンはどんな内容でしたか?
望月:初日は東京本社で朝礼や清掃を体験し、その後は自己紹介用の特大名刺をつくりました。お客様との距離を縮めるために「共通点を大切にする」という考え方は新鮮でした。
午後は会社のTikTok動画のチェックや、日本商店会の還暦祝いの打ち合わせに同席。夜は経営者の方々との会食や、能登半島支援の打ち上げにも参加し、ホスピタルクラウンの方とも出会うことができました。地域活性に関心があるので、とても刺激的な出会いでした。
古川社長:初日からかなり濃いスケジュールでしたね。朝礼のあとに行った清掃も、単なる掃除ではなく、実は経営計画書に記された大事な取り組みの一つです。環境を整えることが、自分たちの心構えを整えることにつながる。そういう意味を伝えたくて、望月さんにも一緒に取り組んでもらいました。
それから特大名刺。私たちがBtoC営業で大切にしている「一瞬で心を開いてもらう」ためのツールです。望月さんが居酒屋甲子園優勝店で働いていたと聞いたときは驚きましたが、その大会を立ち上げた経営者ともご縁があります。共通項があると一気に距離が縮まる──その効果を体験してもらえたと思います。経営者の会合でも臆せず会話を楽しんでいて、学生であっても温かく受け入れられていたのが印象的でした。
望月:2日目は新卒採用媒体の取材に立ち会ったり、女性起業家の方からお話を伺ったりしました。主婦から挑戦を重ねて起業に至った実例を聞き、人生の可能性を感じました。午後は会社説明会に同席し、さらにオフグリッド蓄電池の販売戦略会議にも参加。専門用語も多く、難しさを感じましたが、現場ならではの臨場感を味わえました。夜は経営者交流会にも同行し、皆さんのエネルギーとユーモアに圧倒されました。
古川社長:女性起業家の方のお話は特に良い刺激になったと思います。普通の生活から一歩踏み出して挑戦する姿は、学生にとっても勇気をもらえるはずです。新商材の打ち合わせは確かに難しい内容でしたが、ビジネスの現場ではああした専門的な議論が日常です。そういう場に身を置いてこそ、リアルな経営を感じてもらえたのではないでしょうか。
望月:3日目は千葉で営業同行をしました。飛び込み営業を初めて経験し、インターホンを押すだけでも緊張しましたが、訪問前に「声のトーン」「所作」「成功のイメージ」を繰り返し練習したことで挑戦できました。外観から太陽光の適性を判断する、というプロの視点に触れられたのは大きな発見で、数をこなすのではなく「相手に意味があるか」を見極める営業スタイルが印象的でした。営業は「伝え方」で結果が変わるのだと実感しました。
古川社長:飛び込み営業は教育の一環として行っていますが、ただ数を当てれば良いわけではありません。誠実さと効率を大切にしているからこそ、創業からクレームがなく、口コミも高評価をいただいています。望月さんの練習を重ねながら改善していく姿勢が素晴らしかった。スポーツ経験者らしく、成功のイメージを持って挑む力を活かしていると感じましたね。
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社長の鞄持ちを通じてどんな学びがありましたか?
望月:一番感じたのは「人とのつながりの大切さ」です。社長が出会いを大切にしているからこそ、自然と多くの人が集まってきて、その輪が広がっているのだと実感しました。打ち合わせや会食など、社長とともに行動する中で、目の前の出会いを一つひとつ丁寧につなげていく姿を見て、自分も将来そんな風に人を大切にしたいと思いました。
また、営業現場では「声のトーンや所作まで意識することが大事」と何度も指摘していただきました。自分では気づけない癖をすぐに教えていただけたことは大きな収穫でした。この3日間は、本当に濃い学びの時間でした。
古川社長:19歳で、しかも社長に3日間つきっきりというのは勇気がいることです。普通の学生なら気後れしてしまうところを、望月さんは真剣に、前向きに取り組んでくれました。その挑戦心そのものが素晴らしいと感じました。このプログラムを通じて出会った人や経験を「10年前倒し」の学びとして、これからの挑戦につなげていってほしいですね。