インターン事例

社長の鞄持ちで見えた、人と経営の本質

東京大学
李 論
株式会社スワローホールディングス 代表取締役
篠崎 由博

株式会社スワローホールディングス

株式会社スワローホールディングス
神奈川県藤沢市に本社を構え、食品製造・外食・再生支援など多角的に事業を展開するホールディングス企業。グループには、日本で唯一の春巻き専業メーカーの《スワロー食品》をはじめ、《東京ワンタン本舗》《いわて屋》《壱語屋》《タカトー》《ロボットアレンジャーズジャパン》《食品企業再編支援機構》など、食と人を軸に多様な企業が名を連ねる。製造から販売、事業再生までを一貫して手がけ、国内のものづくりの現場を支える存在として成長を続けている。「人に投資し、人から価値を生む」企業文化のもと、多様な人材が活躍できる環境を築いている。

  • 社長の鞄持ちをしてみたいと思ったきっかけを教えてください

    篠崎社長: まず、大前提として私は「会社は人の集まり」だと考えています。機械がどれだけ進化しても、それを動かし、価値を生み出すのは人です。スワローを引き継いだ当初は厳しい経営状況でしたが、最初に行ったのは人への投資でした。優秀な人材に正当な報酬と権限を与えた結果、会社の業績は見違えるほど改善した。だからこそ「人に投資すること」が企業の生命線だと身をもって知っています。

    この視点で「社長の鞄持ち」を聞いたとき、直感的に「社会の要所をつなぐ仕組み」だと思った。大企業に優秀な人材が固定化されがちな日本で、学生が本当の現場に長時間身を置き、経営者の判断基準や会社の空気を体感できる。しかも津田社長が企業を事前スクリーニングすることで、学生は安心して踏み出せる。形式的なインターンとは違い、企業も学生も本音で向き合える場になっている。国益にも資する仕組みだと確信し、その場で「やる」と即決しました。

    :僕は大学2年の冬、信頼する先輩から薦められたのが直接のきっかけです。周囲は大企業のインターンに行っていましたが、僕には、用意された箱庭で高得点を狙うゲームに見えて、どうしても惹かれなくて。
    一方で、中小企業の社長像には誤解も含めて強い好奇心があった。実際どんな意思決定をし、どう稼ぎ、どう使うのか。一次情報に触れたいと思い、迷わず飛び込みました。学生は時間があっても腰が重くなりがちですが、ここは大チャンスだと感じて。

    篠崎社長:その一歩を越える好奇心こそ、私が採用で重視する資質の一つです。大切なのは「優しさ」と「好奇心」。社長の鞄持ちに応募してくる時点で、すでにハードルを越える胆力がある。だからこそ、企業側も上辺を整えず、素のまま向き合う。そこにこの仕組みの価値があります。

  • 3日間のインターンはどのような内容でしたか?

    :初日は藤沢の工場と本社を訪れ、現場の空気や工程のリアルに触れました。高卒のシングルマザーという経歴を持つ3人の部長が中核を担い、皆さんが楽しそうに働く姿が印象的でした。「仕事=嫌なもの」という先入観が覆され、会社を支える土台を実感した一日でした。

    本来の2日目は、篠崎社長のご友人で日本でも指折りと評される弁護士との面会が予定されていましたが、私の体調不良で中止に……。後日、改めて機会を設けていただけることになっています。

    篠崎社長:本当に、用意されたプログラムはありません。中小企業は取り繕う余裕がない分、ありのままを見せられる。だから短期間でも、会社の強みや弱み、意思決定の温度まで届くんです。今回は不測の事態もありましたが、むしろ予定調和でない現実に触れることも含め、現場学習だと思っています。

    :二日半の中で特に印象的だったのは、社長の言葉の密度です。まさに“格言製造機”。メモが追いつかず、途中で書き取りを諦めたほど(笑)
    社長曰く「これは20年かけて回収する伏線」。経営書ではなく実体験から出た言葉だからこそ、時間をかけて噛みしめるほど効いてくるのだと感じました。

    篠崎社長:その量を渡しても吸収できると見込んだからこそ、出し惜しみはしませんでした。理解の速さと言語化の力は、論くんの大きな強みです。

  • 社長の鞄持ちを通じてどんな学びがありましたか?

    :一番刺さったのは、「きれいごとを言うために、徹底的に経済的合理性を求める」という姿勢です。理念を言うだけなら誰でもできる。篠崎社長は「言葉のツケ」を自ら背負い、利益を生み、納税し、人材に投資し、役職者には部下の人生を良くする義務を課す。権利と義務を等価に置く運用を実行しているところに痺れました。
    同時に、自分はまだきれいごとを言う資格がないとも痛感しました。責任を負える強さを身につけたときに初めて、言葉を発する。将来の目標が明確になったのは、最大の収穫です。

    篠崎社長:彼自身の学びの核心を、理路整然と自分の言葉で要約できるのが素晴らしい。私は学歴で人を見ませんが、論くんの価値は考え続ける習慣にあります。思考を止められないのはリーダーの素養の一つ。そこに「ほっとけない優しさ」と「強い好奇心」が加われば、面倒ごとに飛び込む胆力が生まれます。

    スワローでは、学歴や性別、国籍に関係なく、役割を果たす人に正当な評価を与えます。上に立つほど、権利と同じだけの義務を背負う――それがうちの文化です。理念ではなく、日々の判断に落とし込む運用ルールとして徹底しています。

    :自分の強みとして「自分で考えている」と指摘いただけたのも大きいです。無自覚だった資質に名前がつくと、鍛え方が見えてきます。
    そして、現場を見て分かったのは、事業の中心が「人」であること。面白い人がいれば、後から仕事をつくる――この発想は、キャリアの描き方をも変えてくれます。

    篠崎社長:まさに「人が先、仕事が後」。人がいれば利益は必ず生まれる。だからこそ、社長の鞄持ちは、人の流動性を高め、優秀層が中小企業に降りていく回路を開く。この仕組みが広がれば、日本はもっと健全になる。論くんのような次世代の中核に、良い伏線を埋め込めたことが、私にとって最大の報酬です。

    :いただいた伏線を、現場で一つずつ回収していきます。責任を負える人間になって、いつか自分も「言葉のツケ」を払う側に立ちたい。今回の鞄持ちは、その第一歩でした。

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