インタビュー

私立進学校入学後ドロップアウトし、パチンコ屋と雀荘に入り浸って月30〜40万円を稼ぐ。卒業後は、高校時代のバイト先である店長の家へ転がり込み、21歳のときにアパレル業界へ。販売や仕入れ、新店舗開拓などを経て、20店舗を統括する立場になる。20億の売上を達成し、2002年退職。3畳の物置からインターネット通販を開始し、エヴァー・グリーン創業。2006年、有限会社エヴァー・グリーン設立。

前職、特に最初は、僕自身が社会不適合者だったこともあり、毎日のように鉄拳制裁をくらいました。「辞めたい。でも、辞めたら自分はどうなるんだろう」と思い、歯を食いしばって耐える日々。しかし「ちょっとでも実績を残したい」と腹を括ったことで、スイッチが入りました。裁量権も持たせてもらい、21歳から25歳まで走り抜けました。 海外からの仕入れを任せてもらったり、友達を誘って店長を任せたりと、仕事はめちゃくちゃ楽しかったです。最後には21店舗を統括する立場にもなり、金のない僕を拾ってくれた社長には恩も感じています。ただ、人を大事にしない姿勢だけは共感できませんでした。人を大事にする会社を作りたい。この思いは、今の私の原点です。

2002年当時の通販は、雑誌のうしろのページに掲載されているカタログが一般的でした。しかし、これからインターネット通販が伸びるとの話を聞き、梅田のヨドバシカメラで一番安いノートパソコンとデジカメを購入。自宅にあった山積みの服をYahoo!オークションに出品し、2年間順調に売上を伸ばしました。購入者にできるだけ早く届けることを意識していたところ、評価が上がり、リピーターが増加。フリマ形式ではなく店舗が欲しいと思い、当時業績が伸びていた楽天市場への進出を決めます。個人事業主は出店できないルールだったため、このタイミングで法人化しました。

売上は順調に上がり、事業拡大を目指して採用も強化。しかし、私が知っている指導方法は、前職のパワーマネジメントだけです。当時は、怒鳴り散らし、暴言を吐いていました。今、当時の写真を見ると、まるで別人のような顔をしています。周りは、常に私の一挙手一投足を気にして、顔色を窺っている状態。売上は伸び続けたものの、人材確保に悩む日々が訪れます。 私が自らの行動を見直すきっかけとなったのが、息子の誕生です。まだ目が開いていない息子に「強くてやさしい男になれよ」と、話しかけたとき、ふと思ったのは「自分はどうなんだ」ということ。当時の私は、どもりがひどくて話せないこともありました。「経営者」としての鎧をかぶったときは、流暢に話せましたが、「一個人」になれば、居酒屋で生ビールさえ注文できない。本当の自分と、社長として作っていた自分が乖離して苦しんだ時期です。とはいえ、社員にも辛い思いをさせました。

2013年から会社の存在意義を考え始め、2014年から新卒採用を開始。10年かけて、組織変革という名の「経営者としての自己成長」に取り組みました。自分の思いが伝わらず、悔し泣きをしたことも多々あります。しかし、それは自我でしかありません。会社の理念、なぜ私は仕事をするのか、徹底的に考えました。 社員やメンバーの幸せはもちろん、お客さんの役に立つためにはどうすればいいのか。事業として人を大切にするにはどうすればいいのか。前職の退職から二十数年かかりましたが、今、ようやく、そのスタートラインに立つことができました。

私は高尚な学生時代を過ごしていませんが、ひとつ言えるのは、その行動は「自分らしいかどうか」を自分に問いかけてください。自分らしさがあるか、誰かの喜びにつながっているかどうかは、行動基準として大事だと思います。 また、世の中の常識は、常識ではないことを伝えたいです。今、多くの人が「普通とは、こうあるべき」という価値観にとらわれているように感じます。僕の考え方は「普通は無価値」です。法律とモラルという2本のラインの内側であれば、基本的に何をやってもOK。自分らしく尖ることは、当社の「個性の輝きと繋がる」という理念にもつながります。