インタビュー

中学2年のときに、辰吉丈一郎の試合を見て感動し、プロボクサーとして世界チャンピオンを目指すと決意。大学在学中にプロの道へ進み、25歳で引退。引退後、太陽光発電の営業マンとして活躍。しかし突然、太陽光発電事業撤退を告げられ、ライバルの営業マンと2006年に株式会社フューチャー・リレーションを設立。2015年、フィリピンでプロボクサーに復帰。同年千葉電力株式会社を設立。2016年、WBCアジアシルバーフライ級チャンピオンを獲得しチャンピオンの夢を叶える。

私の祖父は、日本橋で呉服問屋を営んでいました。父が会社を継いでからは、私も幼い時から「後継ぎ」と言われていましたが、中学生の時に初めて憧れた人間がプロボクサーだったので将来の夢はプロボクサーの一択。ただ、両親から「大学は行け」と言われており、推薦入試で大学へ。在学中にプロボクサーとしてデビューしました。19歳で親父が亡くなり、会社が倒産したりしましたが、母が大学を卒業させてくれたことを、今でも深く感謝しています。卒業後も、プロボクサーとしての収入だけでは食べていけず、アルバイトをしながらボクサーを続け、タイトルマッチまでもう一歩でしたが25歳で引退しました。

当時は、喪失感があり、これから何をやればいいかわからない状態でした。ただ、「ちゃんと働こう」という気持ちがあったのは、母親がいたからだと思います。今の採用においても、「何かやりたい」という気持ちの有無は、大切な基準のひとつです。

ボクシングの引退後は友達の両親が経営するパスタ屋さんで働いたのち、派遣に登録しADSLのモデムを配っていたところ、渡した人から「お前、いい目をしているな」と名刺をもらいました。あとから、その人は社長ではなく一社員だと知りましたが、そのまま入社。誘われた日は、親父の命日です。ハードな営業会社でしたが、上司にも恵まれ、トップセールスの営業マンになりました。

その後グループ会社の、太陽光発電事業の会社に配属になり、順調にセールスを伸ばすなか、突然、事業の撤退を告げられました。ただ、当時隣にいた僕のライバルが号泣しながら「会社をつくりましょう！」と言ってきたのです。会社をつくる気なんて、まったくありませんでしたが、この日も親父の命日でした。何か意味があるのかなと思い、設立したのがフューチャー・リレーションです。

人生の最期に「やっておけばよかった」と後悔したくないと、39歳でボクシングに復帰しました。日本は38歳までの年齢制限があるため、つながりのあるフィリピンでプロライセンスを取り直し、翌年には、父親との約束を叶えWBCアジアシルバーフライ級チャンピオンを獲得しています。

当時は朝10km走って、会社に行き、夕方にジムに行き2時間練習しました。移動も合わせてボクシングに1日4〜5時間費しつつ、電力小売事業の「千葉電力株式会社」を立ち上げたのも、新卒採用に本気で取り組み始めたのもこのときです。時間が限られているからこそ、会社経営も含め、全部真剣に考えて動きました。ここで、流れがグッと変わり、挑戦の素晴らしさを実感した出来事です。

僕の母校は、いわゆるFラン校です。大学で学んだことも、ほとんどないと思っています。ただ、僕の場合は、同じ大学出身の社長とつながりができ、定期的に会うようになり、仕事が始まりました。だから、大学に行った意味、やってきたこと対する意味は、必ずあとから出てくると思います。大学は、勉強を学ぶことも大事ですが、人間関係や社会関係も大事です。

僕は、週に1回、パートナーと2人でナンパに行っていました。絶対相手に無理強いをしない、ルールを決めたナンパです。ただ、お金がなかったので、相手も割り勘OKな人に限っていました（笑）。ただ、今思えば、初めて話す相手とコミュニケーションをとったり、見られ方を意識したりするのは、飛び込み営業と同じです。当時の経験も、今に生きています。今学生時代を過ごしている人は、ぜひよく遊びよく学んで欲しいです。