
宍倉株式会社
代表取締役社長
伊東 建介
神奈川出身。小学校時代をアメリカで過ごす。都市銀行の国際業務部門を経て、製造会社のM&A・経営再建に携わり、その後、投資ファンドからの事業再生責任者として活躍。さまざまな業種で企業改革を推進し、2024年3月、宍倉株式会社代表取締役社長に就任。
神奈川出身。小学校時代をアメリカで過ごす。都市銀行の国際業務部門を経て、製造会社のM&A・経営再建に携わり、その後、投資ファンドからの事業再生責任者として活躍。さまざまな業種で企業改革を推進し、2024年3月、宍倉株式会社代表取締役社長に就任。
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社長の歴史
企業改革のプロがスーパーの社長になった理由。
正直に言うと、最初は「社長就任」なんてまったく考えていませんでした。
これまで取り組んだ会社でも、企業を立て直す際に共通する課題は「人の意識改革」です。人は誰もが変化を恐れるもので、私が過去に取り組んだ会社でも、まずは「出来ない理由をロジカルに説明する多くの人たち」との戦いの毎日でした。難しい中でも「どうやったら出来るのか?」という建設的な議論に持ち込むのが本当に大変で、もう年齢も年齢なので、これ以上組織変革に携わることはないと正直無いと思っていました。
ある日、知人を通じて出会ったのが、現会長の宍倉さんです。最初は「私がスーパーの社長?」と戸惑いましたが、話を聞くうちに「これまでのスーパーのあり方を変えられるかもしれない」と思い始めました。
決め手になったのは、宍倉さんの考え方。238年続く老舗企業の当主として、彼は「スーパーは、手段であって目的ではない」と言い切ったんです。この言葉に衝撃を受けました。
彼は、私が今まで仕えたワンマン経営者の中では、もう群を抜いて柔軟な思考の持ち主。
スーパーという枠にとらわれず、新しい形の会社がつくれるのなら、やってみる価値はある。もう一度やってみようと思いなおし、昨年の3月からこの会社の舵を握ることに決めました。
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社長の想い
大手の真似事をしない—「楽しいスーパー」という新しい価値基準。
私の経営哲学はとてもシンプルです。
・明日の売上を上げたいなら、価格を下げればいい。
・5年先でもお客さんに来てもらいたいならば、美味しいものを売ればいい。
・安いは常に正しいという訳ではないが、美味しいは常に正解なのだ。
・しかし、安いも美味しいも「楽しい」の一要素に過ぎない。
・本来「買い物」は楽しいコトなのだ。
・「楽しい」を売ろう。
つまり、お客様が笑顔になってくれれば、自然と売上はついてくるのだと思っています。
大手スーパーは確かに安い。ただしお客様との接点はほとんど皆無で、最近ではフルセルフレジでお客様に仕事をしてもらい、お客様が袋詰めをして、自らカゴを戻して、カートを定位置に返し、速やかに退店していただくというのが大手スーパーでは当たり前になりつつあります。この効率性を高回転で回すことによって更なる利益を捻出するのが大手のやり方なのだと思います。これはこれで一つのやり方ですし、「その分安くなった方が良い」というお客様も一定数いらっしゃるのも事実かと思います。これは「価格による訴求」を追求するやり方で、我々5店舗の中小スーパーが、大手と同じ戦略を取っても勝ち目がないのは明らかなため、我々は独自路線を突き進もうと決めた訳です。
そこで、これまでの「低価格」のイメージが色濃くついてしまった既存の看板では方向転換は難しいと判断し、「Carney’s」という新しいブランドを立ち上げることにしました。Carney’sのコンセプトはやはり「楽しいスーパー」です。この「楽しい」を実現するには、何よりも従業員が楽しみながら働かないと実現致しません。従業員満足度の向上は私の最大の仕事です。従業員を守るためのカスタマーハラスメント対策の実施や、従業員が主体的に動ける環境づくりを強化しています。
これまでの「決められたことを決められたように」といった受け身の従業員ではなく、「楽しいとは?」「お客様を笑顔にするにはどうしたらいいのか?」を自らが考え、率先して行動に移すことのできる自走型組織を目指して、私も社員も共に意識改革に取り組んでいます。
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社長の目標
238年目のスタートアップ、「Carney’s」の新しいコンセプトへの参画者募集。
より合理的で効率的なものの方が良いとされる風潮のある世の中で、私はもっとスローライフが世の流れになっていくことを望んでいます。家族や友人と食卓を囲み、美味しいものを食べている時間が長ければ長いほど幸せ指数は上がるのではと。
そういう願いも込めて、今後はファストフードよりもスローフードを新たな価値基準として、スーパーが何を提供出来るのかを真剣に考えていきたいと思っています。
会社を変えるためのステップは、「解凍→移動→再凍結」の3ステップです。これまでの価値観や習慣を溶かす「解凍」と、次になりたい姿・形に持って行く「移動」までが私の仕事です。新しい文化、新しい価値観、新しいビジネスモデルに「再凍結」するのは、次の世代の人たちに託します。これら新しい会社を作り上げていく工程を「楽しそう」と思ってくれる方がいらっしゃいましたら、是非ともご連絡ください。一緒にこの238年目のスタートアップ企業を立ち上げようではありませんか!
2025年春には「Carney’s福王台」をリニューアルオープンし、順次その他既存店舗もブランド転換を推し進めます。アクアラインを降りた所から5分の所に福王台店がありますので、是非一度「楽しいスーパー」を覗きに来てみてください。
取材日:2025年01月